新潟 釣りの道具箱 うまい魚と釣りの旅
一発大波?百発波とは? 減らない釣り人の事故 ボクの波にのまれた経験
悲しい釣り人の事故が減りません。
今、みんなで考える事とは?
※経験談の記事は下部になります。
海の怖さ
毎年耳にする釣り人の事故。
不注意によるものから避けきれないものまで様々です。
相手は「自然」だという事をいつも忘れてはいけませんね。
初心者のころは何もわからず危険と隣り合わせ。
慣れてくるとその「経験」からハードルが下がったり、経験が決めつけになり危険がせまる。
我々釣り人自身の心構えで「危険」をより少なくしていきたいです。
残された家族・仲間
皆さんはどうして魚釣りを始めましたか?
海水魚なら家族に美味しい魚を食べさせたいから?
ルアーフィッシングがおもしろそうだから?
色々なきっかけで魚釣りを始められたのかと思います。
ボクもそうでしたが最初は無我夢中で釣りを楽しんでいました。
そうです、「釣りを楽しむ」です。純粋に。
ところがSNSの普及により他人の釣果がリアルタイムで入り、実際に話で聞くより自分の目で見えてしまうところで
「嫉妬」や「負けん気」、「羨望」や「モチベーションアップ・ダウン」
等様々な感情が入り乱れてしまいます。
いつのまにか「釣りを楽しむ」という自分主体の釣りから、「他人と比べる」という他人との釣りになってしまっていました。
「他の釣り人より釣りたい」
多くの釣り人がそう思っているのではないでしょうか。
それは間違えではないと思いますが、そのベクトルの方向と強さが、時に自分の理性と歯止めを壊してしまう事があります。
人のいる場所は魚が釣りにくくなったり、人が多すぎて釣りをする場所がなかったり。
そうなると人がいない「悪天候の日」や「人が入りにくい険しく危険な場所」にアプローチしてしまう方も。
ボクの経験
もう何年も前になりますが、ボクも経験があります。
とある堤防にシーバスを求め仲間とアクセスしました。
ポイントを一望できる高台に車を止め準備を進めながら談笑を交え15分くらいポイントを眺めていました。
波の高さは1・5m、うねりは8~9秒くらい。
予報と同じくらいで、その波の規則性に変化は無し。
大丈夫だ、問題ない。
そう判断しました。
この日は超ベテランの方と初めて会う方とボクとで三人釣行。
ポイントはがら空き、絶好のチャンス。
ボクとベテランの方はどんどん先端へ。70m位の堤防の先端。
この方は相当の経験の持ち主であり、腕もかなりの物。
ボクは絶大な信頼を置いていました。
その方もボクを評価していただいていてお互い「過剰に信頼」していました。
この日はこれがいけなかった。
おたがい、気持ちの中に
「少しの波に対する不安」
が存在していましたが、
彼は
「クロオビさんが何も言わないから大丈夫なんだな」
ボクはボクで
「これだけの凄腕のベテランが何も言わないならこの波は大丈夫なんだな」
と、不安に対する話をしませんでした。
そしてなにより「他人の釣果」にのまれていたボクは「他人に見せる釣果」を追っていた時期でした。
釣りを開始めてすぐに自然の驚異を体で受け取りました。
百発波といわれる海の豹変
ボクが釣りをしていたポイントは、先端が少し広くなっており落下防止のチェーンが縦に3段に張り巡らされています。
海面より高くなっているのは当然ですが、さらに大きな階段が5段くらいあります。
その時は突然来ました。
規則正しい波の打ち返しが豹変・・・・
「ん?波の引く時間が長い?」
思ったのと同時に「危険」を肌で感じて無意識に高い方へと移動する!
ガバガバと不気味な音をたてて波が引いていたと思ったら目の前に海水の壁が。
波の壁は堤防の先端に当たり、砕けた波がまだ押し寄せる。
その波はボクの膝くらいで押し寄せる。
とてつもない、経験したことのない「圧倒的な足払い」でくらう。
武道で鍛えていて、他の方より足腰は強いはずの、120kg以上あるボク簡単になぎ倒し水の中へ引き込みました。
階段の一番下に一気に叩き付けられる。
水の中にいる時、
「今は呼吸を我慢しなきゃ」
心の中は意外と冷静でしたが、その時間はかなり長く感じました。
駆け抜ける水と共に海中に引き込まれるのを止めてくれたのは
「チェーン」
でした。
かろうじてチェーンに引っかかっていました。
海中から解放され
「さぁ立て!!」
と自分に言い聞かせ素早く堤防を戻りました。
ベテランさんも同じ波にのまれましたが無事でした。
お互いタモを無くし、タックルの一部を失いました。
手元にあるタックルも大きく変形し無残な姿に。
その時は気づきませんでしたが車に戻って気が付きました。
「体が痛い」
ライフジャケットを着ていた胴体以外にけがをしていました。
実際に来ていたライフジャケットが
これです。
ボクは体重があるので
こちらの「体重のある人用」を選択していました。
楽天市場・AMAZON
今は販売しているのかわかりませんが、廃盤ならまた発売していただきたいです。
体だけは無傷だったのが本当に幸いでした。
背中を強打した場合、気を失ってしまう可能性があるからです。
気を失っていたら、チェーンをすり抜け海中へ引きずり込まれていたかもしれません。
ライフジャケットの重要性を身に染みて体験できました。
体以外の手足には大きなけが。
特に左足には何かが刺さったのか深い刺し傷がありました。
黒いズボンだったので気づきませんでしたが血だらけでした。
痛む体で何とか家に着くと、連絡を入れていた妻が悲しそうな顔で出迎えてくれました。
この瞬間、
「海に命を返してもらえた」
と思いました。
「もう、こんな釣りはしない」
ただただそう思う事だけでした。
突然の高波
よく海難事故で耳にする
「突然の高波」
実際に目にするまで眉唾な言葉であったりします。
今まで数多く海には行きましたが明確な「突然の高波」を見たのはこの日が初めてでした。
後から聞いた話ですが、波には何回かに一回と言った割合で
「高い波が来る時がある」
ということでした。
これを「百発波」・「一発大波」・「一発波」と呼んだりするそうです。
「百回に一回、高い波が来る」というたとえからきてるそうです。
調べによると、100回に一回は1.6倍の波が来て、1000回に一回は2倍の波が来る確率があるそうです。
この日もそうでした。
がしかし、根本をたどれば悪天候時に釣りに行ったボクに非があります。
釣果に心を奪われた怠慢と、他人から「すごい釣り師に見られたい」という羨望欲求にのまれた結果です。
誰かと比べること自体は問題ありませんがボクの場合、その理性を越えてしまっっていたわけです。
この先の釣り
こんな経験をしたボクに言われたくない!と思われる方もいらっしゃると思いますが、今回お話ししたのは同じような経験をしてほしくないと思う気持ちと、「突然の高波」が存在するという経験から学んだ事実をお伝えしたかったからです。
シーバスの様に「荒れた日に釣りやすい時期」がある魚もいます。
ただ、「穏やかな日にも釣りやすい」を研究するきっかけにもなりました。
考えて釣りをする今のスタイルはこの時からです。
釣りに必要な知識 波の高さと周期を知って安全に魚に近づこう!!2018年11月17日
やみくもに「釣れる時にいく」のではなく、魚を知って釣りに行くことが重要の様に思います。
みなさまの安全釣行を心から願っております。
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